第65回「外国人による日本語弁論大会」は、2026年10月3日(土)岡山県井原市で開催されました。日本語を学ぶ出場者が、それぞれの経験や思いを自分の言葉で発信する一日となりました。スピーチを通じて語られたのは、日本の暮らしの中で見つけた気づき、母国との違いから考えたこと、そしてこれからの国際社会へ期待するまなざしなどです。会場には、真剣な発表に耳を傾ける時間だけでなく、出場者、地域の方々などご来場いただいた皆様が、互いの文化や考え方に触れ合うあたたかな雰囲気が広がりました。

本大会は、世界各国の人々が日本語で日本の社会や文化について意見を発表し、互いの理解を深めることを目的として1960年より開催されています。出場者にとっては、日本語学習の成果を披露する場であると同時に、自身の経験や価値観を社会へ届ける貴重な機会です。聞き手にとっても、日頃見過ごしがちな日本の姿を、海外からの視点を通じて改めて考える時間となりました。

当日は、予選を経て選ばれた12名の出場者が登壇し、スピーチを行いました。日本で暮らす中で生まれた疑問、母国の文化と日本文化との比較から見つけた発見、日本語を学んでいる中での気付きなど、内容は多岐にわたりました。流暢さや表現力はもちろん、自分の体験に根ざした言葉で聞き手に語りかける姿が印象的でした。
第1部ではスピーチが行われ、発表後には会場から大きな拍手が送られました。第2部では、井原鏡獅子長発太鼓保存会による太鼓のパフォーマンスが披露され、力強い音と迫力ある演奏が会場を盛り上げました。出場者同士や来場者との間にも自然な交流が生まれ、日本語という共通の言葉と地域文化を通じて、国や文化を越えて考えを共有することの楽しさが感じられる大会となりました。

外国人による日本語弁論大会の翌日には、出場者が開催地や日本文化に触れ、互いに交流を深めるプログラムも行われました。スピーチの場だけで終わらないことも、この大会の大きな魅力の一つです。地域の文化や人との出会いを通じて、参加者にとって開催地そのものが忘れられない思い出となります。
大会前日には、出場者や関係者の顔合わせが設けられ、翌日の本番に向けて和やかな雰囲気が生まれました。63回大会にて外務大臣賞を受賞し、前回大会に続き司会を務めたクリストファー・リナルディさんからの温かいアドバイスもありました。
大会翌日には、弓道体験やワールドカフェなど、地域文化に触れながら対話を楽しむ機会もありました。弓道体験では、日本の伝統文化に直接触れることで、参加者から驚きや関心の声が上がり、ワールドカフェでは、リラックスした雰囲気の中で井原市の方々と国や立場を越えた対話が広がりました。
こうした交流プログラムは、開催地の文化や人の魅力を参加者に伝えるだけでなく、地域の方々にとっても、世界各国の参加者と直接出会い、地域の魅力を再発見する機会となります。自治体や地域団体にとっては、国際交流、多文化共生、地域発信を一体的に実現できる取り組みとして、大会開催の可能性を感じていただける内容です。


審査の結果、各賞の受賞者が発表されました。受賞者の皆さまには、スピーチの内容、構成、表現力、伝達力など、総合的な観点から高い評価が寄せられました。
| 賞 | 氏名 | 題名 |
|---|---|---|
| 外務大臣賞 | ネパリ ビマル | 「10枚の反省文が教えてくれたこと」 |
| 文部科学大臣賞 | ムンフバヤル マラルゴー | 「当たり前の奥へ」 |
| 井原市長賞 | ホアン ファット | 「ラベルの向こうへ」 |
| 会場審査員賞 | ゴー ティ ミン トム | 「私の夢」 |

今回の大会では、日本語による発表を通じて、参加者一人ひとりの思いや価値観が会場に共有されました。同時に、開催地での体験や交流を通じて、地域の文化、歴史、人のあたたかさに触れる場面も数多く生まれました。弁論大会は、出場者がスピーチを行う一日限りのイベントではなく、地域と世界が出会い、互いの理解を深めるきっかけにもなります。
大会を開催することは、地域にとっても大きな発信の機会です。出場者や関係者が地域を訪れ、文化体験や対話を通じてその土地の魅力に触れることで、地域の魅力が国内外へ伝わっていきます。国際交流に関心のある自治体や団体にとって、本大会は、地域の特色を生かしながら多文化共生を身近に感じてもらえる取り組みとなります。
「一般財団法人国際教育振興会は、今後も日本語による発信の場を通じて、世界の人々と日本社会をつなぎ、相互理解を育む機会を提供してまいります。本大会の開催にあたりご協力いただいた関係自治体、団体、地域の皆さま、ご出場いただいた皆さま、ご来場・ご視聴いただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。これからも、地域と世界を結ぶ交流の輪をさらに広げてまいります。」